大好きだもんなー『プラネテス』

何度も何度も定期的に読み返しています。オールタイムベストの作品。


ネコ「ようこそ 君は何者だ?」
ハチマキ「僕は僕です また僕はあなたです 虚無であり死であり 矛盾と呼ばれるものであり 全ての時間と空間であり 問いであり同時に答えです」

タナベ「……慣れてみるとやっぱりいい所だったワ 昼も夜も上も下も右も左も北も南も猫も人間も気にしなーい 体はいつもフワフワしてて楽ちんだし」
タナベのパパ「いいねェ そいつァロックンロールだねェ」
タナベ「ん――― でもねー なんつーかね―――……」
タナベ「……ず―――っとちいさい頃からあそこにいるような…… 最初から知ってる所なような…… 民が言うほど大ゲサな世界じゃないような気がするなァ」

先日みた『ライフ・オブ・パイ』に触発されて3巻を読み返したくなった。大いなる海も大いなる宇宙も人間を簡単に殺し、また理不尽に生かさせる。
2巻の最後で森羅万象を見せられたハチマキと深海の底に悠久の宇宙を見たパイはとても似ている。
その後パイは死と隣り合わせの海で子サバイバルを続けるが、ハチマキは人間社会にある意味守られながら悩むことになるが。

ライフ・オブ・パイ - Second Wind Blue ~セカンドウインドブルー~



ヴィンランド・サガ』11巻 奴隷編 クヌートの覇道
[幸村誠] - Second Wind Blue ~セカンドウインドブルー~

ライフ・オブ・パイ


評価:★★★★

1960年代初めのインド ポンディシェリで生まれた少年パイ・パテルは、父が経営する動物園で動物たちと触れ合いながら育つ。ところが、パイが16歳になった年、人生が一転する。両親がカナダ モントリオールに移住することを決め、家族と動物たちは貨物船でカナダへ向かうのだが、太平洋のど真ん中で突然の嵐に見舞われ沈没してしまう。たった一人、救命ボートにしがみつき一命を取り留めたパイ。しかし、そのボートにはリチャード・パーカーと名付けられた凶暴なベンガルトラが身を潜めていたのだった……。小さなボートと僅かな非常食、そして一頭のトラ。果たしてトラは少年の命を奪うのか、それとも希望を与えるのか!? かくしてパイと一頭のトラとの227日にも及ぶ想像を絶する漂流生活が始まった。  

Amazonより

先日、海外から帰る飛行機の中で視聴。グングンと引き込まれていきました。120分の映画のうち90分は主人公が救難船の上でひたすら波に揺られているのですが、飛行機もとても揺れてね……おえっぷ、てなりました笑

想像通りに哲学的内容でした。生きるとはどういうことか。生命とは。宇宙とは。そして物語とはどういうことか。解釈に奥行きの深さを持たせつつ、圧倒的映像美で息をのませます。本編でもう一人(一匹)のメインともいえるトラもほとんどがCGらしいことを後から知り驚きました。命がある。このトラ、気高さがにじみ出てて、とてもかっこいいんですよ〜。


・嵐の中の稲妻に神を見る
途中、疲弊した主人公、パイの船を大きな嵐が襲います。嵐と言えば最初にパイの家族の命を奪ったもの。そしてさらに今回は大きな船ではなく小さなボート。パイは人生最大の恐怖に襲われたと思います。あるいは絶望か。

しかし、その時落ちた稲妻や雲の裂け目にパイは神をみて笑うんですよね。このシーンがホントに美しくて思わず泣いてしまいました。絶望の中の美しさというのでしょうか。

これと似た感覚を『ゼロ・グラビティ』を見たときにも感じました。主人公が一人、命からがら宇宙船にたどり着くも、宇宙船はピクリとも動かず、メーターを叩くと氷がはがれ推進系が死んでいたことが分かるシーンです。その時の彼女にしてみれば九死に一生を得たと思った瞬間に希望をつぶされたわけですから大変な絶望です。しかし……このシーンで涙を流すわけです。なぜか?なすすべもなく宇宙を漂流している主人公の後ろで雄大にたたずむ地球がとにかく美しいんですよ

大いなる存在に心奪われました。死ぬ前にこういう風景が見られるなら悪くないと思いません???←


・どちらの物語がいい?
生き残ったパイはカナダ人ライターに問います。僕はトラと海を漂流し、数々の神秘に出合い、共に生き残った。でももしかしたら当時に調査員たちに語ったように数人の人間たちと漂流し、殺し合い、結果、自分だけが生き残ったのかもしれない。どちらとも家族は死んで僕は苦しんだ。君はどっちを信じる?どちらが語り継がれる物語であるべきだと思う?と。

さいころから円周率πに親しみ、神に興味を持って育ってきたパイにとってはこの二つの物語は全く違う意味を持つ。もしかしたら真実は関係ないのかもしれない。それを感じた、体験した人が得たものが重要なこともある。世の中理不尽だらけだ、だがそれでも人はそこに意味を持たせたい。救われるためかもしれないし、前を向いて歩いていくためかもしれない。

ガンスリンガー・ガール13、14巻

最近完結した相田裕さんの『GUNSLINGER GIRL
まだ読んでなかった13,14,15巻が欲しかったのですが、最終巻(15巻)が本屋に売ってなく、13、14、だけ買ってきました。

うーん、面白い。最初のころには考えもつかないような熱い展開になりましたね。

ジャコモ砦攻略線は『24』を思い出させるほどのスピーディーな展開で、クライマックスにふさわしい死闘が繰り広げられます。
最初の頃(ぺトラ登場くらいまで)はもっと「萌え」というか残酷な世界の中での少女の美しさ、純心、無垢さみたいなものがこのマンガの売りだと思っていたんですけれど、それを損なうことなく、どんどんこの世界が視えて来る進行は驚きでした。セカイ系の作品にも見えたんですけれど(共依存)今は決してそうではない。15巻かけて視野が広げられたガンスリの世界はとてもよく出来てる。
後半はかなり政治的な話も出てくるのですが、気をつけて読んでみると、最初のほうからその片鱗が見られたりします。最初から世界が構築されていたような、もっと言うなら最初から全15巻分のシナリオがあったような、そんな出来です。
それにそういう「社会の構造」とか「勢力の争い」を説明し続けるような展開にはならなくてほっとしています。そういうのはもっとハードボイルドなマンガでみせてもらえればいいから。最初のこのマンガの方向性だったはずのフラテッロの関係性を最後まで主軸にして物語を終えそうなことが嬉しいです。

シーンとしては僕はぺトラとサンドロが大好きなんで(大人の恋!!)14巻の司令室攻略線に痺れましたね。敵兵士が銃を撃った!…と思ったらすでにぺトラが壁を走っていた!!!みたいなコマ割にはひざを打ちましたねー。かっけーなぁ。その後もロッサーナとの出会い(みんな大好きロッサーナ!)を思い出させるサンドロの交渉!熱い!へまできない大一番で師匠を超えられるのか?どうなるサンドロ!?というのは、もうね燃えるよね!作者わかってるぅ!って叫ぶよね!そりゃ!(笑)「俺はアンタとちがって天才じゃない」って言ってた頃の彼に見せたいよ。

僕は相田裕さんの同人誌のほうの『バーサスアンダースロー』が大好きで、めちゃくちゃ読み込んでいるんですけれど、かなり違った印象を受けるんですよね。『ガンスリ』は背景が緻密で人物もトーン仕上げ、『VSUT』はサインをさっと書いたような描き方。ふたつをいつか比べてみたいです。この二つはどうも裏表の関係な気がするんだよなぁ

15巻の限定版。まだどっかに売っているかな

2012年ベスト

2012年ベストです。
ここでは2012年に@悠弥が読んだor見た作品の中でも素晴らしかったのを上げていきたいと思います。
基本僕のブログは星5が「大傑作、これは絶対に読んで欲しい!んで語り合おう!」と言えるもので(笑)
星5+がさらにその上をいく「オールライフベスト、殿堂入」みたいな奴やつです。

僕が去年楽しんだだけだから、当たり前のように「昨年以外の作品」があるよ。

・『最高の人生の送り方』


評価:★★★★★

「一度きりの人生なら、華々しく生きようじゃないか。」
これについては記事を書きました。
http://d.hatena.ne.jp/Yuya_Aozaki/20120104/1325645841:『最高の人生の見つけ方』 2007年
運命の出会いってこういうことなんでしょうね。僕が入院中だったときにこの作品に出会い、共感する。上の記事にも書いたのですけれど
人がその「物語」に出会う“タイミング”ってのは、その作品の本来の“質”以上に大切なことだと思うのです。
決して“質”が悪いと言っているのではなくて(笑)一期一会。一回性の体験ですよね。
今年のアンフォーゲッタブルストーリーになりました。

・『風雲児たち

評価:★★★★★

実は記事にはしてなかった…
みなもと太郎先生の『風雲児たち』が素晴らしかった。中学で習う江戸時代をこういう風に描いてくれるのかと、ただただ、感動しました。この作品、あの『ファイブスター物語』みたいな大河ロマンのおもしろさがあるのですが、ただこれノンフィクションなんですよ!この圧倒的なドラマ、サーガの延長線上に自分たちが立っているかと思うと、震えが止まりません。それにこれは『教養』としても素晴らしい、当時の人たちの考えが丁寧に説明してあるので、例えばよしながふみさんの『大奥』などの理解が深まるんですよね。
ただ、まだ途中までしか読んでなかったりするので、あと何回も読み直したいですね。そうしたらきっと『殿堂入』をはたします。

あとは『ソード・アート・オンライン・アインクラッド』、『TARI TARI』、『ダークナイト三部作』、『PERSONA4』、『WHITE ALBUM intro』、『魔法使いの夜』、『第9地区』、『おおかみこどもの雨と雪』、『楽園の泉』、『エヴァQ』、『食べて、祈って、恋をして』、『アルケミスト』あたりが2012のアンフォーゲッタブルストーリーです。どれも記事を書きたいなぁ(遠い目)

去年は素晴らしい作品にたくさん出会えましたが、星5+レベルはなかったなぁ。このレベルに達するには僕から作品に対する歩み寄りが必要なので主に僕の所為です。ただ大学も楽しくてなぁ・・・そこのバランスが難しいですね
クンフーを積む!

『バッファロー’66』 あれれ……なにこれ、きもちわるい。


評価:★★

5年の刑期を終え、刑務所から釈放されたビリーは、ニューヨーク州バッファローの実家に戻ろうするが、長年の溝がある両親には電話で刑務所にいたことは話しておらず、電話で「政府の仕事で遠くまで行っていた」と偽り、さらに勢いで「フィアンセを連れて帰る」と嘘を並べてしまう。
フィアンセどころかガールフレンドもいないビリーは、トイレを借りた建物の中のダンス教室でレッスン中だった少女レイラを拉致して、自分の妻のふりをするよう脅迫する。しかしビリーには実家に戻るだけでなく、バッファローで他に真の目的もあった。 wikiより


★★はここでは残念です

うーん、なんとなくでレンタルしてきてみました。映画は最後まで飽きることなく見れました。主人公が異様な空気を出していて物語がどこへ向かうのか不安になります。ヒロインも嫌いじゃないよ?ぽっちゃりでかわいい。あんなにメイク濃いのに似合っちゃうのは何でだろう?


何が残念かというと最後までヒロインが謎過ぎたということに尽きる。ラブストーリーなんだけれど女性側の動機が(なんで愛するのか)がまっったく分からなかった。

この映画は見ていくにつれて主人公とヒロインの印象がだいぶ違っていきました。
主人公のビリーは当初、いきなり他人に乱暴したり、ヒロインを誘拐したりと凄い狂人ぶりをみせています。受ける第一印象は「出所したばかりの根っからの荒くれものです。しかし、物語が進んでいくと次第にそういう人物ではないことが分かっていきます。実は凄く気が小さくて見栄っ張りなダメ男だったのです。で、しかも自分をまだ「きっと自分は凄いやつなんだ」と信じちゃってる部分があるから、いつも現実と勝算のない勝負をしています。そして負けると人のせいにする。「自分は正しいはず!」
対して、ヒロインはダンス教室で踊っていたところをいきなり拉致られたのに、驚くほど男に従順です。視ているとおバカではない様子。受ける印象は「生活に不自由はないけれど〈誘拐〉みたいな非日常に憧れている女の子」この時点では女の子にとって重要なのは確実にこの男ではなくて〈誘拐〉というシチュエーションなんですよね

それがいつの間にか男は女の子に深く愛されるようになります(!?)

気がついたら男は知らない女の子に愛されてましたって感じです。自分は拉致った相手にいろいろ命令したり、怒鳴り散らしたりしたくせに、それなのにこの女の子は自分のことを心配してくれるのです。
ここがさっぱりわかりません!


結構ひどく書いてますけれど、この主人公はダメ男ですが、男なら凄く共感できる部分があると思います。主人公が一喜一憂したり、見栄張ったりする場面ではイタいなーと思いながらも微笑ましい。主人公はボーリングが得意なんですが、どうみても初心者なヒロインがストライクを取って自信を喪失するところは本当に微笑ましい(笑)もう女からみたら男の魅了ゼロのはずなんです。すくなくとも男が考える男の魅力ゼロ!
そんな自分が酷い扱いをしたり、かっこ悪いところを何度もみせた女の子に何故か愛されてる?普通疑っちゃいますよね。この女何をたくらんでる?って。何で俺を愛してくれるの?何を考えているのって。しかし、どうやら映画の主人公はボクと違い何故?という疑問を持たなかったようです。ラストをみれば明らかですが……。その部分で共感しなかったのがこの定評価に大きく結びついています。

こう思った人僕だけじゃないと思うんですけれどね……。amazonレビューなどでは「ラストに感動した!」って言う人が多いですけれども、僕は最後までこの女の子がよく分からず、気味悪がりさえしました。

男にとって「天使」なんですよね。この女の子。ダメダメな自分を無条件で愛してくれる。こういう「天使」は漫画やアニメでたくさん見てきているのに、三次元の実写になると違和感バリバリになるのはやはり修行不足か。